❖ 「情報セキュリティに関する知識を身につけるのは本人の責任」
──本当にそれで会社を守れるのでしょうか?

「ドメイン名の見分け方なんて、社会人として常識だろう」
「いちいち会社で教えるようなものではない」

そんな風にお考えの経営者の方も、少なくないかもしれません。
しかし、その“常識”に任せきりで、本当に企業の信用や顧客情報を守れるでしょうか?


❖ フィッシング被害の入り口は、たった1通の“見分けられなかったメール”

企業がサイバー攻撃の被害に遭う原因として、「不審なメール」を受信したことがきっかけとなったものが未だ少なくありません。

偽ドメインを用いたメールなど、本物のように見せかけた偽のメールに騙されてしまい、被害に遭う。よく見れば偽のメールだとわかるのに、気づけなかったことで被害に遭ってしまう。それが実際に現場で起きていることです。

📌 例:以下、すべて偽ドメインです

  • 本物:@amazon.co.jp → 偽物:@amaz0n.co.jp
  • 本物:@rakuten.co.jp → 偽物:@rakuten-member.jp
  • 本物:@mufg.jp → 偽物:@mufg-alerts.jp

見慣れたように見えて、よく見ると“違う”メールアドレス。
ほんの少しの違いに気づけるかどうかが、事故を防ぐカギです。


❖ 社員の1クリックが、企業全体を止める

  • 業務サーバーが停止
  • 顧客情報の流出
  • 謝罪会見、取引停止、ブランド毀損…

それらは、**「1人の社員が、1つのメールを見誤っただけ」**で起こり得るのです。
その社員に、会社は「見分け方」を教えていたでしょうか?


❖ 経営者が問われるのは、「なぜ教育していなかったのか?」

近年の情報漏えい事故では、**「教育の有無」や「防止策の実施状況」**が
企業の管理責任として厳しく問われるようになってきました。

📎 経済産業省「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」より

“経営者は、自社および関係者に対して、継続的なセキュリティ教育を実施する責任を負う”

つまり、「社員に任せていた」とか、「社会人としての常識なのだから個人の責任だろう」という考えは通用しないのです。


❖ セキュリティ教育は、“防波堤”である

人のリテラシーこそが、最も効果的なセキュリティ対策です。

  • ファイアウォールでは防げない偽メールも、
  • AIでは気づけない微妙なドメインの違いも、
  • 社員の“気づき”があれば防げる。

その「気づき」を育てるのは、会社の教育体制でしかありません。


❖ 「常識」よりも、「仕組み」で守る時代へ

フィッシング詐欺をはじめとするサイバー攻撃が24時間・365日、あたりまえのように、かつ、大量に行われるようになった現在の状況では、社員の意識やモラルに頼るのではなく、会社の仕組みとして守ることをあたりまえのものとして捉えなければ、会社を守り切ることはできません。

「教えていなかった」ことで、守れたはずのものを失う前に──
まずは、ドメイン名の見分け方から始めるセキュリティ教育を、経営の判断で。

あなたの周りを見回して、「ドメイン名」「DNS」「URL」この3つを、ほとんどの社員が正しく説明できますか?

「ドメイン名」「DNS」「URL」については、高校の「情報Ⅰ」で高校生全員が習うようになりましたが、全ての高校生が正しく理解できているわけではないことは、公表されているテストの結果から見ても明らかです。

授業で習っていても、全員が正しく理解しているわけではないのですから、「情報Ⅰ」の授業を受けてすらいない社会人が、授業で習っている高校生よりも理解しており、社会人としての常識なのだから、会社として教える必要性は無いとは到底言えないでしょう。

「ドメイン名」「DNS」「URL」の3つについて社員に適切に教育を行うことは、もはや企業としての管理責任と言えますが、それでも、”自社ではそこまでやる必要などない”と言い切れるでしょうか?


✅ 企業として取り組む第一歩に

  • 社員向け研修で「見分け方の基本」を伝える
  • 月1回、フィッシング対策のワンポイント講座を配信する
  • 実際の詐欺ドメイン例を共有する

小さな取り組みが、大きな事故を防ぎます。

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キットマスター 標的型攻撃メール対応訓練実施キット開発者
プログラマ、システムエンジニアであり、情報セキュリティの分野では現役の標的型攻撃メール訓練実施担当として10年以上にわたり、毎月どこかしらで標的型攻撃メール訓練を実施している、訓練実施のエキスパート。