「この前の研修でしっかり教えたはずなのに、もう忘れている人が多い…」
そう実感したこと、ありませんか?

実はこれ、社員のやる気の問題ではなく、脳の仕組みによる自然な現象なんです。


🧠 一度覚えたことでも、脳は忘れるようにできている

記憶に関する研究では、
「一度覚えただけでは、数日〜数週間で大半を忘れてしまう」
ことが知られています。

ヘルマン・エビングハウスの「忘却曲線」は有名ですよね。
でも、ここで大事なのは――

忘れてしまうのは、失敗ではない

ということ。

なぜなら、脳は一度覚えたことを完全に消してしまうのではなく、「眠らせて」いるからです。
すっかり忘れていたけれど、何かをきっかけに思い出すことってありますよね。

この「眠っている記憶」は、思い出すことで強化されます。
二度目、三度目と繰り返すことで、どんどん忘れにくくなるのです。


🚀「繰り返し」こそが学習効果を最大化するカギ

実際に成果を出すビジネスパーソンたちは…

  • プレゼンの内容をブラッシュアップしながら何度も繰り返す
  • 営業で使うトークスクリプトを繰り返し練習する
  • 一度学んだ事柄を定期的に復習する

という**「反復」行動**を当たり前のように続けています。
これは「記憶の定着」を前提にした習慣。

繰り返し」こそが学習したことを定着させ、効果を最大化する事が既に知られているのですから、それを組織全体に根付かせることは、研修担当者として重要なミッションと言えます。


🛠 社員研修を「一度きり」で終わらせないために

~担当者が取るべき4つのアクション~

では、どうすれば「繰り返し学ぶ文化」が社内に根づくのでしょうか?
研修企画担当者として、以下のような打ち手が効果的です。

実際の例として、ある企業では出社してパソコンを起動すると「不審なメールを見つけたら上長に報告を」などの情報セキュリティに関するポップアップメッセージが表示され、否応なしに意識付けが行われる工夫を行っているそうです。


✅ ① 月例の「ミニ復習クイズ」の実施

ちょっとした問題を全社員に配信し、研修内容を思い出す機会を作ります。
メール1通で完結できるなど、負担に感じない形式がベスト。


✅ ② 「1分だけ見る」振り返り動画の活用

YouTubeショートのように、学習内容を短い動画にして定期配信。
出社時のモニターや昼休みの時間など、自然に触れる機会を増やすと効果的。


✅ ③ 「思い出しワーク」を組み込んだ朝礼

「○月のセキュリティ研修で学んだこと、覚えてる?」など、
チームで思い出すワークを朝礼に組み込みます。
ゲーム感覚で楽しく思い出す仕掛けが有効です。


✅ ④ 忘れることを前提とした「定期再研修」制度

「1度きりで完結しない」ことを制度化し、3か月・6か月後に同じテーマの再研修を設けましょう。
内容はすべて復習形式にすることで、心理的ハードルも下がります。


🌱「一度で覚えきらせよう」としない文化が、人を育てる

社員にとって本当にありがたいのは、完璧な知識の詰め込み研修ではなく、
「何度でも思い出せる環境」です。

覚えようとしたわけでもないのに、いつのまにか自然と覚えてしまった。
というのがベスト。

繰り返すことで、“一度忘れた知識”が“成果を生む武器”へと変わります。

繰り返す文化は、会社の成長エンジンになる

それをつくるのは、あなたの企画力にかかっています。


🔚 忘れる前提で、学びをデザインしよう

  • 忘れるのは脳の自然な反応
  • 思い出すことで記憶は強化される
  • 研修は「一度きり」で終わらせない設計が重要
  • 担当者が「繰り返しの仕組み」を社内に仕込むことがカギ

📌**「反復は面倒」ではなく「成長の近道」**
この考え方を、ぜひ社内に根付かせていきたいものですね。

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キットマスター 標的型攻撃メール対応訓練実施キット開発者
プログラマ、システムエンジニアであり、情報セキュリティの分野では現役の標的型攻撃メール訓練実施担当として10年以上にわたり、毎月どこかしらで標的型攻撃メール訓練を実施している、訓練実施のエキスパート。