ネット通販で急増中!トライアングレーション詐欺の手口と防止策

詐欺師は日々知恵を絞って、如何にして金を得るか?を考えています。
新しい手口が登場する度に、「こんな手があったのか!」と思わされるばかりですが、
さすがにこれは真贋を見分けるのが難しいと思わざるを得ない、巧妙な手口の詐欺が広がっています。

その名も「トライアングレーション詐欺」。

三角関係のように「詐欺師」「ネットショップ」「一般利用者」の三者が関わり、気づかないうちに加害者にも被害者にもなってしまう可能性がある巧妙な仕組みです。


🔎 トライアングレーション詐欺とは?

トライアングレーション詐欺は以下の流れで発生します。
購入者にはちゃんと商品が届くので、カード情報を盗まれた人からの不正利用申告が行われるまで、詐欺に遭っていることに誰も気づかないというのが厄介な点です。

  1. 詐欺師が偽のショッピングサイトやフリマアプリ、SNSで商品を出品
    → 実際には商品を持っていない。
     
  2. 購入者(被害者A)が詐欺師から商品を注文
    → 代金を詐欺師に支払う。
     
  3. 詐欺師は盗んだクレジットカード情報を使い、購入者Aの名前と住所で正規のネットショップに商品を注文、ネットショップから購入者Aの住所に商品が配送される
    → 購入者は「商品が届いたので安心」と思う。
     
  4. クレジットカードの本当の持ち主(被害者B)が不正利用に気づき、カード会社へ申し立て
    → 結果的にネットショップは代金を回収できず損害を受ける。
     
  5. 詐欺師は購入者から入手したクレジットカード情報を使って別の人を騙す
    →購入者はカードの不正利用者(加害者)にされ、自身のカードも不正利用(被害者)される。

👉 つまり、

  • 購入者(被害者A) … お金を払ったのに偽物の出品者へ支払い → 被害者
  • カード情報を盗まれた人(被害者B) … カードを不正利用される → 被害者
  • ネットショップ … 代金を回収できず、商品も失う → 被害者
  • 詐欺師だけが利益を得る仕組み

⚠️ トライアングレーション詐欺の特徴の例

  • 相場より極端に安い価格で出品されている
  • 出品者の評価やレビューが少ない/不自然
  • 取引のやり取りをフリマアプリ外に誘導するケースがある
  • 商品が届いたとしても、支払った代金は詐欺師に流れている
  • サイトのURLが正規のショップのURLと異なる
  • 代金の支払先が個人名など、正規ショップの社名でない

🛡️ 被害に巻き込まれないための注意点

  1. 相場より安すぎる商品に警戒する
    → 特にブランド品や人気家電。
     
  2. 出品者のプロフィール・取引履歴を必ず確認する
    → 評価ゼロや極端に短期間で大量出品している場合は要注意。
     
  3. アプリ外でのやり取りはしない
    → LINEやメールに誘導するのは詐欺の典型的なサイン。
     
  4. 支払いは公式システムを利用する
    → クレジットカード番号を直接教えるのは絶対にNG。
     
  5. 商品が届いても安心しすぎない
    → 「届いたから安全」と思わず、取引の仕組みを理解しておくことが重要。
      発送元が注文したショップと一致しているかどうかや、注文明細を必ず確認する。
     
  6. メールの送付元や注文者のアクセス元を確認する
    →日本のショップなのにメールの送信元が海外だったり、注文者の住所が国内なのに、注文者のアクセス元が海外のIPアドレスだったりしないかどうかを確認する。 

相場より格段に安い値段で出品するのは、注目させるためだったり、今すぐ買わなければ!と思わせるためであったりしますが、極端に安い金額は逆に怪しいと思われやすいことから、相場よりもちょっと安い金額に設定するなど、怪しいと思われないための工夫を凝らしてくることも十分考えられます。

このため、安すぎるわけではないからといって安心せずに、販売サイトとして実績があるのかどうか、また、カード決済システムは公式の決済代行会社のシステムを利用しているかどうかなど、正規のショップであることをしっかり確認した上で購入手続きを進める慎重さが求められます。

詐欺サイトであれば、被害が発覚した時点でサイトを閉鎖して逃げてしまうので、長年に亘ってサイトを運営しているということはありません。こうした点に注意することが、騙されないための見分けポイントと言えるかと思います。

ネットショップを運営している側からすると、口コミやショップに対する評価など、第三者からの評価を確認することができる情報を提供し、正規サイトに容易にアクセスできるようにすること、また、正規のショップと、そうでないショップを見分けやすいようにすることが、自社と顧客を守る防衛策となると考えられます。


✅ ネットショップを運営している企業は特に注意が必要

トライアングレーション詐欺は「商品が届いたのに実は詐欺に加担させられている」という、非常にやっかいな手口です。特に、売上も商品も失ってしまう正規のネットショップにとっては、死活問題になりかねません。

購入者は被害者にも加害者にもなり得るため、私たち利用者が注意深く行動することが欠かせませんが、ネットショップを運営している企業においては、こうした手口があることを社内で共有し、防衛策を考える必要があります。

💡 「安すぎるものは疑う」「公式システム以外のやり取りはしない」
利用者にとっては、これが最大の防御策です。

安心してネットショッピングを楽しむために、また、自社や顧客がこうした詐欺に巻き込まれないようにするために、会社全体で日頃からセキュリティ意識を高めるようにしたいものです。

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キットマスター 標的型攻撃メール対応訓練実施キット開発者
プログラマ、システムエンジニアであり、情報セキュリティの分野では現役の標的型攻撃メール訓練実施担当として10年以上にわたり、毎月どこかしらで標的型攻撃メール訓練を実施している、訓練実施のエキスパート。