「こんな攻撃に引っかかるわけがない」と思っていませんか?

「警告が出た?でも、指示通り操作するなんてありえないよ」
「さすがに、わざわざ自分で怪しい手順を実行する人はいないでしょ?」

そんな“常識”が、ある企業で実施されたClickFixをシミュレーションした標的型攻撃メール訓練によって覆されました。

📉訓練に参加した社員のうち、なんと10%以上が、Web画面に表示された手順を実行してしまったのです。

これは例外でも、失敗でもありません。
私たちは今、ユーザーの手を“自ら動かさせる”攻撃に騙される時代に生きています。

【参考リンク】
【要注意】巧妙すぎる新型フィッシング攻撃「ClickFix」とは?あなたも標的にされるかもしれない!


🔎ClickFixとは?ユーザーを“共犯者”にしてしまう新たな攻撃

ClickFixとは、ユーザーに操作させることで攻撃を成立させるソーシャルエンジニアリングの一種です。
しかも、ユーザー本人は悪意のある操作をしているという自覚がありません。

具体的な手口の例:

  1. メールで「アカウントにエラーが発生しました」と通知
  2. リンクをクリックすると「手順通り操作してください」と案内
  3. 手順に従ってユーザーが設定変更・コマンド実行
  4. 気づかぬうちにマルウェア感染 or アカウント乗っ取り

🧠**“クリックだけ”ではなく、“設定変更”や“操作実行”を要求してくる**のが特徴です。
この「操作の一手間」によって、セキュリティソフトやスクリプト検知を回避してしまいます。


⚠訓練で判明:指示に従ってしまったのは誰?

実際にClickFix型の訓練を行った企業では、驚きの結果が出ました。

📊 操作実行者:全体の10%以上

「指示通りに操作してしまった理由」として挙げられた声:

  • 「不具合をそのまま放置するとまずいと思った」
  • 「よくある認証手順だったので気にしなかった」
  • 「わざわざ手順を教えてくれるのだから信用できると思った」

👤知識がないユーザーにとっては、「怪しい」と判断できる材料がないのです。


📚なぜ人は“操作”してしまうのか?

これは決して不注意ではありません。
ClickFix型の攻撃は、心理的トリガーを巧妙に突いてきます。

ユーザーが操作してしまう背景には:

  • 🔔「今すぐ対応が必要」と焦らせる警告文
  • ✅「この手順を踏めば解決します」という親切な説明
  • 🧑‍💼「正しい行動をしている」という安心感

つまり、操作すること自体が「正しい」と思わされているのです。


🛡教育こそ最大の対策――“視点”を与えるトレーニングの重要性

ClickFix型のような「操作型攻撃」には、システムだけでは対処しきれません。
鍵となるのは、ユーザー自身が“気づく力”を持つことです。

教育で伝えるべきポイント:

✅ ブラウザに表示された指示でも、必ず疑う視点を持つ
✅ 操作の前に、上司やIT部門に確認する習慣を身につける
✅ 「あなたのためを思って」「今すぐ対応」などの言葉は攻撃の定番ワード
“操作を要求する画面”そのものが危険のサインであると認識させる
✅ その操作でなければならない理由を説明できない場合は、必ず立ち止まって確認する

🎓 正しい知識は、直感よりも確かな盾になります。


✅今、ユーザー教育に必要なのは「怪しむ視点」

ClickFixのように、ユーザーに一手間の操作をさせる手口は、これからも進化を続けます。
その中で、「自分で操作する以上、安全だろう」という思い込みが最も危険です。

🧩 攻撃者は、クリックの一歩先の“行動”を狙ってきています。

だからこそ、今必要なのは
👉 「これはおかしい」と気づける視点を持つための教育です。

  • 自分ではよくわかっていないのに操作を実行する
  • ただ指示通りやればそれで良いと考えての思考停止
  • 自分の中で腹落ちするまで何故?を繰り返そうとしない習慣

業務へのこのような関わり方が攻撃者に付け入る隙を与えてしまいます。

自分が何をやっているのか?どうしてそれをやっているのか?何故それが必要なのか?
自身が行っていること、また、行おうとしていることに常に疑問を持ち、
本当にそれが正しいことなのか?を俯瞰できる目を持つこと。

これは、ClickFixの手口に騙されないためだけではなく、AIを悪用したフェィクに騙されないためにも、また、ビジネス一般においても必要な必須スキルであると考えます。


💬あなたの会社では、ユーザーにその視点を教えていますか?

標的型攻撃メール対応訓練実施キットでは、ClickFix型の攻撃をシミュレートすることができる訓練メールテンプレート、また、ClickFixの手口について解説した種明かしページのテンプレートを提供しています。

こんな記事、どうせ商品を売り込みたいだけの煽り記事でしょ。
こんな攻撃にうちの社員が引っかかるわけないじゃん!

ともし、あなたが今でも思っているのでしたら、実際にClickFix型の攻撃を再現した標的型攻撃メール訓練を実施してみてください。

私自身も実際にある企業で訓練を実施した時には、リンク自体のクリック率はそこそこあっても、最後まで操作してしまうような人はさすがに1%にも満たないんじゃないかと思っていました。

しかし、蓋を開けてみたら最後まで操作をしてしまった人が10%以上。
正しい知識を持たない人が如何に簡単に騙されてしまうかを改めて実感させられました。

思い込まずに事実を確かめ、現実に目を向けること。
これが一番大事なことだと思います。

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キットマスター 標的型攻撃メール対応訓練実施キット開発者
プログラマ、システムエンジニアであり、情報セキュリティの分野では現役の標的型攻撃メール訓練実施担当として10年以上にわたり、毎月どこかしらで標的型攻撃メール訓練を実施している、訓練実施のエキスパート。