
「うちの会社なんて小さいし、守るような情報もない。標的型攻撃メール訓練なんておおげさでしょ?」
そう考えている中小企業の経営者は少なくありません。
しかし、実際にサイバー攻撃の被害を受けてしまった中小企業の多くが、同じように“自社には重要な情報など無い”と考えていたのです。
この記事では、「何故、情報が無くても狙われるのか?」「どんな企業が被害に遭っているのか?」を実例を交えて解説しながら、なぜ訓練が必要なのかを明らかにします。
1. 実例①:「大企業の下請け」というだけで狙われた
とある製造業の中小企業。
自社は従業員20人ほどで、扱っているのは金属部品の製造図面。
ところが、その取引先は誰もが知る大手メーカー。
この中小企業の社員が開いた「仕様変更に関する添付ファイル」を装ったメールにより、マルウェアが侵入。
PCから取引先の情報が盗まれ、最終的に取引先の社内ネットワークにまで感染が広がったとされます。
🛑 自社が狙われたのではなく、“大手企業の踏み台”として使われたのです。
2. 実例②:「取引先リスト」が金になる
ある運送業の中小企業は、「うちはただ荷物を運んでるだけ」と、情報漏えいのリスクを軽視していました。
しかし、社内PCがウイルスに感染し、過去に取引した数百社の連絡先と配送履歴が漏えい。
これにより、一部の取引先に詐欺メールが送られ、被害が拡大。
🧠 「ただの名簿」「配送履歴」も、詐欺グループには十分すぎる“金のなるデータ”です。
3. 実例③:メールアカウントが乗っ取られ、なりすまし被害に
建設業の中小企業で、経理担当者が偽の見積書メールを開いてしまい、メールアカウントが乗っ取られました。
その後、社名を使って取引先に「振込先変更」のメールが送られ、実際に数百万円の誤送金が発生。
🔒 メールアドレスひとつで詐欺が成立する時代。
情報の価値は“金額”ではなく“信頼”に直結します。
4. 実例④:情報を盗んだことを公開するとして、脅迫被害に
2020年、ゲーム大手のカプコンに不正アクセスして社内のデータを盗んだ攻撃者は、盗んだデータを公開するとして、約11億5000万円の身代金の支払いを要求しました。
大手企業でなくても、自社に不正侵入されてデータが盗まれてしまったことを世界中に公表されれば、会社としての信用に多大な影響が及びます。
たとえ重要な情報を持っていなかったとしても、社名を公表すると脅されれば、経営者としては心中穏やかではいられなくなるはずです。
【参考情報】暗号化と暴露で11億円を要求、カプコン襲った「二重脅迫型」ランサムウエアの脅威
📣 不正アクセスされるだけでも十分損害に繋がりうる
セキュリティに弱いということ自体が、もはや、カモがネギをしょっているようなものなのです。
5. そもそも「情報がない会社」は存在しない
仮に営業秘密や特許がなくても、会社には以下のような情報が存在します:
情報の種類 | 攻撃者にとっての利用価値 |
---|---|
顧客名簿 | 詐欺・スパムメールの標的として売買 |
社員のメールアドレス | なりすまし・踏み台にされる |
請求書/見積書 | 偽装請求詐欺に使われる |
サーバのログイン情報 | 他社ネットワークへの侵入に利用 |
👁🗨 「大事な情報がない」と言っているのは、“攻撃者視点”を持っていないことを白状しているようなものです。
📌小規模の会社でさえ攻撃者にとってはおいしいカモです
宮城県仙台市の斎藤コロタイプ印刷株式会社が、卒業アルバムに記載されている氏名や写真など最大で17万3000件のデータが漏洩したと発表した事件、個人情報とは何も、住所や電話番号、クレジットカード番号だけとは限りません。
学校名、氏名、写真があれば、なりすましの元情報として使えますし、サイバー犯罪に関して知識や経験に乏しい学生を対象に、投資詐欺やマルチ商法などのカモとしてアプローチすることもできます。
どのような情報も、犯罪者にとっては使い方次第で「金のなる木」に変わりうるのです。
【関連リンク】従業員100人規模でも被害に――斎藤コロタイプ印刷の情報漏えい事件から学ぶ
❓なぜ「訓練」が必要なのか?
これらの攻撃は、たった一通のメールから始まります。
いかに社員が「怪しい」と気づけるかが鍵になります。
その「気づく力」を養うための効果的な手段が、標的型攻撃メール訓練です。
標的型攻撃メール訓練はセキュリティの専門家が受ける訓練ではありません。
セキュリティの専門家が受ける訓練は「RedTeam演習」などと呼ばれる、より高度な訓練の方です。
標的型攻撃メール訓練は、情報セキュリティについてあまり知識を持たない、また、関心が無いような社員にこそ受けていただきたい、情報セキュリティ研修の一つなのです。
📩 擬似体験で疑似失敗をさせることで、実被害を未然に防ぐ
標的型攻撃メール訓練を実施することは、火災訓練や地震訓練を実施することと同じで、「リスクマネジメントの基本」です。
🎯まとめ:
「狙われる理由が無い」と言っている人は、「狙われていることに気づけない」ことが問題
- 情報の大小ではなく、攻撃者から見た“利用価値”があるかで決まる
- 「うちは関係ない」と思っている会社ほど、準備ゼロで被害が拡大しやすい
- 標的型攻撃メール訓練は、「守るための第一歩」であり、「被害者にならないための保険」
“そうは言うけど、うちの会社なんて狙ったってしょうがないと思うけどなあ・・・”と思うなら、インターネットに詳しい人に、「うちにある情報で金儲けなんてできるの?」と聞いてみてください。
きっと、あなたの会社も十分ターゲットになり得ることに気づかせてくれるはずです。
🔧攻撃者について知ることは企業運営にとってもはや必須事項です
まずは簡単なメール訓練からでも構いません。
「訓練ってどんなもの?」「費用は?」「誰がやるの?」という疑問も、無料相談で解消できます。
標的型攻撃メール訓練についてもっと知りたいと思われた方は、弊社にお気軽にご相談ください。
弊社サービスを利用するかどうかはわからない、また、既に他社サービスを利用しているという企業様でも大歓迎です。
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