唐突ですが、訓練メールを送信する時ってドキドキしませんか?

自分はもう何年も標的型メール訓練に関わっていますが、今でも訓練メールを送信する時はドキドキしてしまいます。

宛先と訓練メールの内容を取り違えていないかな?とか、
送信エラーが発生したらどうしよう?とか。

予行演習はもちろんしっかりやっているので、本番も予行演習の時と同じようにやればいいだけなんですが、それでもやっぱり、本番の際はドキドキしてしまいます。どうにも心配性なんですよね。

さて、そんな訓練メールの送信ですが、業者に委託するのと違い、自社内製で訓練を実施する場合は、訓練メールの送信も自分でやらなければなりません。

そんな時に手間となるのが、「送信エラー発生時の対処」

何のエラーもなく、全ての訓練メールが送信できればいいのですが、連続して訓練メールを送信していると、メールサーバー側との通信がエラーとなってしまうことがあります。

メールサーバーの負荷状況や、同時接続数の制限などによっては、メールサーバー側がメール送信のリクエストを一時的に受け付けなくなるんですね。そんな時にこうしたエラーが発生します。

キットに付属のメール一括送信ツールでは、こうした場合は送信結果欄にエラーメッセージが記録されますが、あいにく、メールの再送機能は具備していないため、エラーが発生した際は、手作業で再送を行う必要が生じます。

これが1通や2通といった程度なら大して気にはならないのですが、何百通もの訓練メールを送信しなければならない時に、こうしたエラーがちょくちょく発生したりすると、かなり面倒なことになります。

今回はそんなエラーを気にせずに訓練メールを送信する方法として、自分がいつも使っているお奨めの方法をご紹介します。この方法を知ったら、訓練を実施される際は、必ず、この方法を使いたくなること請け合いです。

方法1 再送機能を持つ簡易SMTPサーバを間に挟む

キットに付属の訓練メール一括送信ツールでは、エラーとなったメールを自動で再送してくれる機能がないため、送信エラーが発生したら、以下どちらかの方法で対処を行うことになります。

1.後でまとめて再送を行う。
2.エラーが発生した都度、ツールを止めて再度ツールを実行する。

しかし、何百通もの訓練メールを送信しなければならないという時に、度々エラーが発生して止まってしまっていたのでは、さすがにやり切れません。

そこで利用したいのが、訓練メールを送信するSMTPサーバと、訓練メール一括送信ツールとの間に、再送機能を持つ簡易SMTPサーバを挟み、ツールからの訓練メール送信は簡易SMTPサーバに接続して行い、訓練メール送信用のSMTPサーバとの通信は簡易SMTPサーバがツールに代わって行うようにすると、メールサーバ側が一時的にリクエストを受け付けなくなっても、簡易SMTPサーバ側が持つ再送機能によって、メール送信のリトライが行われるため、手作業で訓練メールの再送を行うといった面倒さを解消することができます。

Windowsで使える簡易SMTPサーバについては幾つかありますが、特にお奨めしたいのは、 SAPPOROWORKSさんが提供している「BlackJumboDog」というソフトウェアです。

BlackJumboDog」は簡易SMTPサーバとして動作するだけでなく、ProxyサーバやWebサーバとしても動作するので、 開発者の方でしたら、普段からテスト用や開発用として利用しているよ。という方もいらっしゃると思います。

BlackJumboDog」の良いところは、以下の2点が機能として提供されている。ということで、ツールからの送信はBlackJumboDogに対して行うことで、あとはBlackJumboDogが訓練メールを送り切るまで、BlackJumboDogの画面上を 流れるログを眺めていればよい。ということになります。

1.メールの再送(リトライ)を指定した間隔・回数で行える。
2.送信ログが記録できる。

ただ1点、残念なところとして、TLS接続のSMTPサーバには対応していないため、Outlook.comのSMTPサーバなど、TLS接続以外では接続ができないSMTPサーバの場合はBlackJumboDogが使えないという点があります。

この点については、Outlook.comのSMTPサーバと、BlackJumboDogの間に、PostfixなどのTLS接続に対応したSMTPサーバをさらに挟むという方法があるのですが、ここまでするなら、他にやりようはあるよね。という話が出てきてしまいますので、ここでは割愛します。

なお、BlackJumboDogを設定に関しては、以下のページでご紹介しているので、ご興味のある方はご参照下さい。

方法2 Outlook対応版の訓練メール送信ツールを使う

BlackJumboDog」が使える環境では、やはりBlackJumboDogが便利なので、自分の場合は必ずと言っていいほど、これを使って訓練メールを送信するのですが、 Microsoft Exchangeのメールサーバ環境や、前述のTLS接続必須のメールサーバ環境ではBlackJumboDogは使えません。

しかし、Microsoft ExchangeではMicrosoft Outlookを使えばメールは送信でき、さらに、OutlookではTLS接続に対応したSMTPサーバに接続してメールが送信できるので、BlackJumboDogが対応できないメール送信環境でも、Outlookを使って送信が行えるなら、Outlookを活用するというのは選択肢になります。

これを実現するのが、キットに付属の、Outlook対応版の訓練メール一括送信ツールで、Outlookにメール送受信用のアカウント情報を設定し、パソコン上で起動しておく。という必要はありますが、ツールから送られたメールはOutlookの「送信トレイ」に格納され、送信が完了すれば「送信済みアイテム」に格納されるので、BlackJumboDog と同等のことが実現できます。

但し、訓練メール送信中はOutlookがほぼ占有されてしまうことになりますので、訓練メール送信用のパソコンを1台用意し、そのパソコン上で訓練メール一括送信ツールとOutlookを動作させるのが良いでしょう。

なお、Outlookではメールの送信日時を指定できるので、送信を行う時間帯にはパソコンとOutlookが起動している必要はありますが、例えば早朝や深夜の時間帯に訓練メールを送信するといったこともできます。

日時を指定して訓練メールを送信できないか?といったご質問を頂くことがありますが、このようなニーズがある場合は、Outlook版の訓練メール送信ツールの利用は一つの選択肢となるかと思います。

以上、いかがでしたでしょうか?
訓練メールの送信は結構、気を遣う作業になりますので、ここでご紹介した方法がお役に立てば幸いです。