
標的型攻撃メール訓練を実施すると発生する現場からのクレーム
標的型攻撃メール訓練の実施は、企業のセキュリティ対策において重要な施策のひとつ。
しかし「訓練メールを送っただけ」で、社員から思わぬクレームや反発を受けることがあります。
「繁忙期を避けたはずなのに、なぜ?」
実は、繁忙期以外にも“地雷”になりやすいタイミングや状況が存在するのです。
今回は、社員の反感を買いやすい“意外なタイミング”と、それを避けるための事前対策について解説します。
💢 クレームが出やすい“意外なタイミング”5選
① ✨「新制度導入直後」や「社内システムの切り替え時」
- 社員は新しい操作やルールの対応に追われており、心の余裕がない
- 混乱している中で訓練メールが届くと「不安を煽られている」と感じることも
② 🎓「人事評価期間中」や「昇進選考直前」
- メールの見落としが評価に影響するのでは?と過剰に警戒・反応
- クリックしてしまった社員から「評価に影響するのか」と質問が殺到するケースも
③ 🍂「大型連休の直前・直後」
- 休暇前は仕事の“詰め込み”で緊張感が高まりがち
- 連休明けは気が緩みやすく、「引っかける気満々なのでは」と不信感が募る
④ 🔄「他の施策とのタイミング重複」
- ハラスメント研修やeラーニングなど、複数の社内教育が重なると“押し付け感”が増す
- 「また何かやらされるのか…」という疲労感や拒否感
⑤ 😟「過去の訓練で心理的負荷が高かった直後」
- 前回の訓練が社員の記憶に残るほど厳しかった場合、次回の訓練に対して不安や反発が強くなる
以上はクレームが出やすいタイミングの例ではありますが、逆に「このタイミングで訓練を実施してくれたことは良い気づきになった」「気の緩みを引き締める良いきっかけになった」など、好意的に捉えてくれる方も少なくありませんので、必ずしもこのタイミングで訓練を実施することが悪いことであるとは言えないということは補足しておきます。
🛡️ クレームを防ぐための3つの工夫
✔ 1.「訓練実施の目的」と「安全性」を明確に伝える
- 「訓練であり、監視や評価ではない」と明言することで安心感を持たせる
✔ 2.タイミングだけでなく“心理的コンディション”も考慮
- カレンダー上の繁忙ではなく、社内の空気感やイベントと重なっていないかも要チェック
✔ 3.社員アンケートや振り返りで“次回への配慮点”を抽出
- クレームは「改善のヒント」。反発が出た理由を丁寧に分析することで、訓練の質が上がる
クレームに繋がるのか、それとも感謝や好評価に繋がるのかは、結局、訓練メールを受信した人の捉え方次第になります。
このため、クレームを防ぐにはクレームに繋がりそうな心理を予測し、訓練を実施する前に先回りしてクレームに繋がらないよう根回しなどの工夫をしておくことが大事だということです。
前もって伝えておけば、訓練の実施に対して腹が立ったとしても、前もって聞かされていたという負い目から強く出ることはできなくなります。
また、”あなたのことを無視して一方的に訓練を実施しているわけではありません”ということが伝わるだけでも、クレームが寄せられる可能性はだいぶ減らすことができるはずです。
💬 実際にあった声(社内アンケートより)
「また騙されるのかと思うと、メールを開けるのが怖くなった」
── 前回の訓練で強烈なインパクトを感じた社員
「全社で立て続けに研修ばかり。多すぎて何をやったか覚えていない」
── 社内教育が連続したことで“学習疲れ”を感じた社員
「評価に響くと誤解していた。上司と口論になりかけた」
── 人事評価シーズンに実施してしまった例
メールを開けるのが怖くなったなど、不審なメールであることが見分けられなかったことがトラウマとなり、人間不信や疑心暗鬼に囚われてしまうケースはままあります。
中には、”もうメールは開かない!”、”システム部からのメールは全て無視する!”、”こんなことするなら業務でメールなんて使わせるな!”など、過激なクレームに繋がってしまうケースもありますが、必ずしも全てのクレームが真っ当な意見であるとは限らないので、適切なクレームには真摯に耳を傾けつつも、不適切なクレームには毅然とした対応で臨むこともまた必要なことだろうとは思います。
🧭 訓練実施のベストタイミングは「カレンダー」ではなく「空気感」
標的型攻撃メール訓練で社員の理解を得るには、業務の“タイミング”と“心理的状況”を見極める感度が重要です。カレンダーだけに縛られてしまうと、ベストな実施タイミングを見誤る恐れがあります。
形式的に“時期”だけを考えるのではなく、
社内の雰囲気、疲労感、研修負荷などにも目を向けることで、クレームは大きく減らせます。
📝 まとめ
クレームが出やすい時期 | 理由 |
---|---|
制度変更・システム切替直後 | 混乱中で対応に余裕がない |
評価・昇進シーズン | 神経が過敏になっている |
連休前後 | 焦り・気の緩み・不信感が出やすい |
教育施策が重なる時期 | “押しつけ感”による拒否反応 |
前回訓練の記憶が強すぎた後 | 心理的トラウマが残っている |
訓練は“タイミング命”です。
業務の流れと社員心理をうまく読んで、「反発されない、刺さる訓練」を目指したいものです。