新入社員の“気の緩み”を防ぐ、セキュリティ意識を持続させるための工夫

🌸 研修直後は意識が高い。でもその後は?

春の入社シーズン、社会人としての第一歩を踏み出した新入社員。
セキュリティ研修も受け、意識はバッチリ……のはずが、数ヶ月後にはつい気が緩んでしまうケースが少なくありません。

たとえば――

  • 取引先の名前を家族や友人との雑談でうっかり口にする
  • 飲み会の席で業務の話をしてしまう
  • SNSで「仕事で◯◯に行った」と投稿してしまう

こうした“ちょっとした油断”が、大きな情報漏えいや信用失墜の引き金になることもあります。

新入社員の場合はこうしたちょっとした油断がどのようなことに繋がるのかについての体験が無いため、うっかりやってしまうことの先にあるトラブルについての想像が働かず、無自覚にやってしまうことがあるだけに注意が必要です。


📌 なぜ「時間が経つと忘れる」のか?

セキュリティ研修で学んだことが薄れてしまう主な理由は以下の通りです:

  • 実務で忙しくなると、意識の優先順位が下がる
  • 成果を出そうと前のめりになるあまり、守るべき線を忘れてしまう
  • 「身近な人なら大丈夫」という誤った安心感

つまり、セキュリティ意識は一度実施して終わり。ではなく、“定期的なメンテナンス”が必要だということです。


💡 研修後の「再点火」がカギ

✅ 1. 配属後1〜3ヶ月のタイミングでリマインド

一通り業務に慣れてきたころが「緩みやすい」タイミング。
この時期にミニ講義やeラーニング、クイズ形式の確認テストなどでリマインドを行うと効果的です。

このタイミングで標的型攻撃メール訓練を実施してショックを与えるというのも良いかもしれません。

✅ 2. 社内SNSや掲示物で「見える化」する

「情報の取り扱い方」や「うっかり事例」をビジュアルで紹介する掲示物を、給湯室や休憩スペースに掲示。
日常的に目に触れることで、注意喚起が自然と習慣化されます。

✅ 3. “やってしまいがち事例”を共有する

「悪気はなかったけど…」という実際の事例を紹介すると、自分事として捉えやすくなります。
たとえば、

ある社員が「うちの会社、〇〇さんと取引してるんだよ」と家族に話したことで、SNS経由で取引先の動向が漏れた――

など、“ありがちな話”ほど効果的です。


🌟 最後に:新入社員を守るのは会社の責任

新入社員は「失敗するつもり」で行動しているわけではありません。
むしろ、“会社の役に立ちたい”という前向きな姿勢の結果として、やりすぎてしまうのです。

だからこそ、会社としては継続的に注意を促し、守るべき一線を明確にする環境づくりが必要です。

新入社員に限らず、既存社員にも言えることですが、気の緩みが生じがちなタイミングで気を引き締める取り組みをタイムリーに提供する。

ネジの緩みを定期的に直すように、社員の緊張感を適度に保つ取り組みを上手に行いたいものです。

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キットマスター 標的型攻撃メール対応訓練実施キット開発者
プログラマ、システムエンジニアであり、情報セキュリティの分野では現役の標的型攻撃メール訓練実施担当として10年以上にわたり、毎月どこかしらで標的型攻撃メール訓練を実施している、訓練実施のエキスパート。