
セキュリティの大切さを一生懸命に説いていませんか?
企業が抱える課題の一つに「社員のセキュリティ意識の向上」が挙げられます。多くの場合、経営層やセキュリティ担当者が社員に向けて、「セキュリティは大切だ」と熱心に説明を繰り返しています。しかし、残念ながらこの方法で社員の意識が劇的に改善することはありません。
なぜ、社員のセキュリティ意識は簡単には向上しないのでしょうか?識学の視点から見れば、その答えは明確です。
🔑 識学が示す「意識向上」の誤解
識学では、組織内での役割や義務を明確にし、各自がその役割に責任を持つことを基本としています。意識や理解度を上げるために一方的に熱意を伝える方法では、社員は「受け身」のままになり、意識改革には繋がりません。
つまり、単なる「セキュリティが重要だ」という説明だけでは、社員は「セキュリティを意識しなくても許される環境」だと錯覚します。
「セールスが仕事の営業社員に不審なメールを見分けさせるなんて間違っている!」
といったクレームを言ってくるのも、こうした誤解・勘違いが原因です。
⚠️ セキュリティ意識は「義務」であると明確に伝える
識学では、社員一人ひとりが組織内で果たすべき義務を明確にすることが重要だと説きます。セキュリティに関する知識を身につけ、それを実践することは社員として当然の義務であることを、会社ははっきりと社員に伝える必要があります。
その理由は明快です。社員はセキュリティ事故が起きても個人的に大きな責任を負うことは稀ですが、会社は事故が起これば莫大な責任を取らなければならないからです。
この立場の違いを明確にし、「会社の責任を負っている以上、社員自身が責任感を持つことが必要である」という認識を強く植え付けることが重要です。
セキュリティ意識の向上は個々人の裁量ではなく、「会社員としての責務」と位置付けることで初めて、社員は自己責任としてセキュリティを意識し始めます。
「仕事をサボってはいけない」というのは、仕事をすることが会社員としての責務であることがはっきりしているからで、「サボらずに仕事をすることは大切なことです」などと、社員に一生懸命説く会社などありません。
セキュリティについてもこれと同じ事です。会社は社員に対し、セキュリティ事故が起きないよう努めることを「明確な責務として」「はっきりと」伝えるべきなのです。
🚨 不要な人材になるリスクを伝える
セキュリティ事故が起これば会社が責任を取らなければならない以上、セキュリティへの意識が低い社員が組織にとって重大なリスクであることを理解してもらう必要があります。
セキュリティ意識の欠如が会社にとって致命的な損害を与える可能性がある以上、それを改善しない社員は「不要な人材」と認識される可能性があります。
会社が社員を守るのは、その社員が会社にとって益がある存在だからです。会社にとってリスクでしかない社員を会社が守る義務などありません。
冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、識学の視点では、このように役割と責任を明確に伝えることが、社員自身の行動を促す最大の原動力になります。
🌟 組織と個人の成長のために
セキュリティに関する責任感を社員にしっかりと持たせることは、会社全体の安全性だけでなく、社員一人ひとりの意識を向上させ、個人の成長にも繋がります。
社員が自ら進んでセキュリティ意識を高め、自己の役割を果たす組織を築くことが、企業の持続可能な成長につながるでしょう。
セキュリティ意識を向上させるために必要なのは、情熱的な説得ではなく、技術者であるか否かに関係なく、「セキュリティは義務である」との明確なメッセージと、それに伴う厳しい現実の提示です。
セキュリティを”会社の文化にする“とは、セキュリティの大切さを社員が理解している文化を創るということではありません。セキュリティが大切だと理解しているかどうかに関係なく、セキュリティを守ることが社員の責務であり、それがあたりまえのことであると認識されている文化を創ることです。
セキュリティ事故が起きても、会社は社員がセキュリティの大切さを理解してくれるまで待ちますか?待っていられないですよね。
「セキュリティ意識を高めましょう」なんて、ぬるいことを言っていてはダメだってことです。