~反抗的な態度にどう対応するべきか?具体事例で考える~

標的型攻撃メール訓練は、社員のセキュリティ意識を高めるために非常に重要な施策です。
しかし、訓練メールに騙されてしまったことで、自尊心を傷つけられた社員が怒り、
時には反抗的な態度を取ってしまうケースも見られます。

このような場合、担当者のフォロー次第で、
💬「さらに意識を高めるチャンス」
にもなれば、
💬「社員の不満を放置してしまうリスク」
にもなり得ます。

この記事では、具体的な事例を交えながら、
怒りを示す社員に対して適切にフォローする方法を考察していきます。


⚡ ありがちな事例

【事例①】
営業部のベテラン社員Aさん
👉 訓練メールのリンクをクリックしてしまい、「営業活動を邪魔された!」と怒りを露わに。

【事例②】
開発部の若手エンジニアBさん
👉 クリックしてしまったことでショックを受け、「こんな訓練は意味がない」と周囲に不満を漏らす。


🎯 フォロー時に押さえるべき3つのポイント


1.まずは感情を受け止め、共感を示す

🔹 反抗的な態度の背後には、「恥ずかしさ」や「自尊心の傷つき」があります。
🔹 まずは冷静に話を聞き、「驚かれましたよね」「悔しかったですよね」と共感の言葉を投げかけます。

⛔【NG】:「それはあなたが悪い」
✅【OK】:「驚きますよね。実際、すごく巧妙な作りでしたから」


2.訓練の目的を「試すためではない」と伝える

🔹 訓練の意図は「試すこと」や「晒すこと」ではなく、
🔹 本当に来るかもしれない攻撃への備えだと、丁寧に説明します。

💬「社員を信じているからこそ、いざという時に守れる力をつけてもらうためです」


3.失敗を「価値ある経験」に変換する

🔹 引っかかった経験を「恥」とせず、未来への防御力強化に変えていく意識付けをします。

💬「今回の体験を共有してもらえたら、きっと他の社員も救われると思います」


📚 実践フォロー会話例

【悪い例】
✖「こんな簡単な詐欺に引っかかるなんて、どうかしてますよ!」

【良い例】
〇「今回は非常に巧妙な内容でした。
  こういうパターンに遭遇できたことで、より一層備えが強くなりますね!」


🛡️ フォローで絶対にやってはいけないこと

やってはいけない対応理由
正論で叱責する怒りが倍増し、対話不能に陥る
失敗を揶揄する自尊心を傷つけ、信頼喪失につながる
「気にしすぎ」と軽く扱う不安や怒りの感情を無視することになる

📄 反抗的な社員向け 個別フォロー文例


【ステップ①】まずは感情に共感する

「今回の件、驚かれたと思いますし、悔しいお気持ちもよくわかります。
訓練のメールは本当にリアルに作られていますから、誰が引っかかってもおかしくありません。」


【ステップ②】訓練の目的を伝える

「この訓練は、社員の皆さんを試したり、責めたりするためではありません。
本当に悪意のある攻撃から守るために、いざという時に落ち着いて対処できるようにする練習なんです。」


【ステップ③】ポジティブな意味づけを行う

「今回気づけたことは、すごく価値のある経験です。
本物の攻撃だったら、この気づきが会社を守ることにつながります。
ぜひ、今回の体験を一緒に次に活かしていきましょう!」


✨ まとめ:怒りの奥にある「守りたい気持ち」に寄り添う

社員が怒りを見せるのは、
裏返せば、**「騙されたくない」「自分や会社を守りたい」**という気持ちの表れでもあります。

クリックしてしまったことで自身の評価が下がり、出世や給与に影響が出てしまうと考えれば、怒りを抱いてしまう社員もいるでしょう。実際にはそんなことは無いとしても、本人がそう思い込んでしまっている場合もあります。

また、「会社に裏切られた」という思いから、”会社がやっていることは許せない”→”会社の間違ったやり方を自分が正さなければ”といった感情を抱く場合もあります。

共感→目的理解→前向き変換の流れを意識しながら、
一人ひとりに丁寧に寄り添うことが、
結果として組織全体のセキュリティ強化につながるでしょう。

焦らず、感情を尊重しながら、誤解を解くべきところは解き、
社員と一緒に「強い会社」を育てていきましょう!🌱✨


補足:そうは言っても、話が通じない人にはどう対処すれば良いか?

社員の気持ちに寄り添うことで、相互理解を深めることができれば良いのですが、時には「モンスター社員」と呼ばれるような、感情的・非合理的・攻撃的な態度を取り、話し合いが成立しない社員に遭遇してしまうこともあります。

このような社員に対しては、通常の「共感ベース」のフォローだけでは対応が難しくなります。
では、運悪くこのような社員に遭遇してしまった時はどのように対処すれば良いのでしょうか?

この続きは明日公開の記事でご紹介します。

投稿者アバター
キットマスター 標的型攻撃メール対応訓練実施キット開発者
プログラマ、システムエンジニアであり、情報セキュリティの分野では現役の標的型攻撃メール訓練実施担当として10年以上にわたり、毎月どこかしらで標的型攻撃メール訓練を実施している、訓練実施のエキスパート。